楽して得取れ、お手軽天体写真

天体写真の醍醐味とは、見た目以上の世界が写ってしまうことに尽きるのではないでしょうか? 肉眼で星空観望、双眼鏡で星空散歩、望遠鏡を使って星雲星団観賞、それら本来の自然の美しさを写真に捕らえることは不可能ですが、その代わりに天体写真では「星空独自ワールド」が広がります。目には見えない世界までも、映像として見る、知ることができる、それが天体写真です。やはり、何と言っても始まりは星空固定写真だと思います。写真としての面白さ、写真としての可能性をここで求めてみるのも良いかと思います。雑誌などのフォトコンテストの写真とはひと味違った己の写真を目指し、お手軽天体写真を始めてみませんか? 要はアイデア次第、偶然に期待、というのが大きい世界ではありますが。さて、機材の準備として、一眼レフデジタルカメラ (ライブビュー機能付きが望ましい) 長時間撮影用リモートスイッチ 予備のバッテリー カメラ用三脚、他に目的に応じたレンズ類。まず、これだけは揃えたい所です。

デジタル一眼レフによる星空固定写真

まずは撮影準備です。と言っても三脚にカメラを取り付けるだけの話。問題はフォーカスですが、ライブビュー付きのカメラであれば、簡単に合わせることが可能となりました。明るい星にカメラを向け、液晶画面でその拡大像を見ながらフォーカスを合わせます。このライブビュー機能が付いていないカメラですと、さあ大変! フォーカスをほんのわずかに動かしながら数秒程度の露光で試し撮り、液晶画面でその拡大画像を確認、再度撮影、その繰り返しです。その際の絞り値は開放で行います。オートフォーカス機能は使えないと思ってください。

さて、実際に星空にカメラを向けてみましょう。レンズはどのようなレンズをご使用でしょうか? やはりそのレンズによって撮影対象を決めるべきでしょうね。私が普段、固定撮影用によく使用しているのがシグマの魚眼レンズ15mm F2.8 です。固定撮影の場合、カメラアングルを地平線に対して水平にしたほうが見栄えが良くなります。遠くの山々、近くの木々、建造物、何でも構いません。星空と一緒に写し込みましょう。星空だけ撮影しても固定写真としての面白さは半減します。下の写真「ISSの飛行」ABは同じ写真、一部トリミングしたものです。左の構図では写真の上下で空の明るさが違い、それが気になってしまいます。が、右側の写真のように、地平の風景を入れる事で、あまり気にならないと思いませんか? また写真としても空だけの写真では面白みに欠けます。水平線まで漆黒の闇でしたら話はまた異なるでしょうが、高度が低くなるに連れて空の明るさが増すのが普通です。それを気にならないようにするためにも地平の風景を構図の中に写し込みましょう。次にF値と露光時間です。下の写真はまだ明るい時間帯でしたし、ISSのゆったりした飛行を撮るためには数分の露光時間を要しました。それで、ISO感度を200と少し低めに設定、 F4 で5分半の露光をしています。なお、撮影した画像を液晶画面ですぐに確認できるデジタルカメラですが、夜間の液晶画面はかなり明るく感じられます。そのため、少し露光オーバーかなと言う程度が適正露光となりますので要注意。露光不足気味の写真を後で処理しても、ざらついた写真になってしまいます。

 


こちらの写真は月夜の中、中望遠レンズ(85mm)で久住の山肌と星空を撮影してみました。この写真は目で見た風景のように、恒星を点として写したいと思いました。それには露光時間を出来る限り切りつめる必要があります。ここではISO感度を最高の1600と設定、F値も開放近くの2.8として20秒間の露光をしています。これは北の方角でしたからこの露光時間でも星が流れていませんが、南側の空でしたらもっと露光時間を切りつめる必要があったはずです。そのような場合、多少の写真周辺部の画質劣化は免れませんが、F値を開放で撮った方が良い結果になったのではと思います。必然的にこのような写真はF値の明るいレンズが必要となります。

ただし、星空固定写真は想像とは違った世界が写真の面白さに繋がっていくのだと思います。最初から緻密な計画のもとに撮影された写真は確かに技術的には素晴らしいものがあるでしょうが、写真として見た場合の面白さに欠けることが多く見受けられます。これは撮影者ワールドから脱皮できていない証拠、もっと写真の可能性を求めても良いのではと思います。


さて、こちらはスナップ感覚で撮影した1枚の写真、星空観望時に「あの星は???」と指さされたとき30秒間ストップしていただき、撮影しました。モデルとなる方には少し厳しいものがありますが、面白い写真になりました。この場合のフォーカスはもちろん無限大、星に合わせています。そしてもう一枚の写真は私の愛車と星空。黒い車ですのでなかなか上手く撮れません。それで私が持っていたヘッドライトで露光時間中に愛車に照明。その間、ライトで文字や絵を描いてもまた楽しい写真になります。一度、遊んでみませんか?

写真の可能性 では何を撮る? いえ、撮りたい物を撮るのが一番でしょう。曖昧無垢とした撮影では面白みに欠けることが多いように思えます。

たとえばここに1本のバラの花、これをいろんな所へ持ち出し星空の下で撮影。二度と来ないその瞬間を、遊び心いっぱいで撮る、こんな事も楽しいかも知れません。また、それがライフワークとした場合、もっと大きな未知の宇宙、世界が広がることでしょう。

たとえば我が愛車、この車の写真を星空と一緒に撮り続けたとしても、それは自分にとっての記録でもあり、そしてそれが「写真群」となれば、また違った観点から写真を眺めることができるでしょう。

1枚の写真で語ってくれる写真もありますが、その多くはちっぽけな世界、私は「写真群」としての可能性を求めています。それは単なる記録に過ぎないかも知れませんが、それはそれで納得いくものだと思います。写真は見る側にとって、人それぞれ受け止め方は違ってきます。今よりも、もっと気楽な気持ちでシャッターを押せれば良いですね。

上記、一般的な方法を私なりに記載しています。が、本音から言えば、ピンボケであろうが露光オーバーであろうが構いません。少しの技術、少しの知識の持ち主が撮影した一般的な写真(例えば私が撮影してきたような面白みに欠ける写真)とは異なった世界、そんな中から面白写真を見いだせるかも知れません。常識を覆すような写真を見たいものです。

少しは天体写真の面白さをお解りになっていただけましたでしょうか? デジタルカメラは撮影後、すぐに写真の判断ができます。失敗しても条件を変えて同じ箇所を何度も撮影、失敗は成功のもと。そんな中、私が撮影する写真のタイトルは「地球から眺めた宇宙」、こんなでっかいタイトルの写真を求めて歩き回っています。 そしていろいろな事に挑戦、写真遊びを楽しんでいます。いつか撮影をご一緒できたら良いですね。 放浪の星追い人


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