ある日の観望風景 その2
2004.04.18
最近小口径屈折にこっています。
FS78をF2経緯台に載せて使っていますが、なかなかの使いごこちで満足
しています(ただしこの組み合わせにはプレートが必要なので注意してくだ
さい)。
近場でのお気楽観望用とし主に使っていましたが、先日、暗い場所に持っ
て行く機会がありました。そこは九州山地の奥、宮崎県の五ヶ瀬町にある
スキー場です。標高もあって、光害はほとんど無い環境です。
この口径ではたしてどこまで見えるでしょうか。
22:30頃到着して、設置が完了したのが23:00ごろになってしまいました。
ちょうど時間が良いのでオメガ星団から見ることにします。透明度があまり
良くないので肉眼ではむりですが、10mmのアイピースで見ると明るく大き
な姿がよく見えています。表面はざらざらブツブツと分離しかけている様子
がはっきり感じられます。X2バローを追加して約120倍で見ると巨大な見え
方になります。さすがに淡くなりますがそらし目にするとかなりはっきり分離
します。それも大口径で見るような一面が分離した無数の恒星に覆われた
見え方です。直視にもどすとザラザラした見え方になってしますが、そらし目
にするとまた微光星がザーと浮かび上がってきます。東西に伸びた楕円形
であることや小さな密集部があることも感じられます。
次ぎにオメガ星団から北上してN5128を見ました。8mmのアイピースで約80
倍です。写真では中央を暗黒帯が横切る円形の系外銀河ですが、今回は
なぜか楕円形に感じられました。中央の暗黒帯はむりなようです。
さらに北上してM83に移動します。一見しただけでは中心部の小さなコア状
の明部しか見えませんが、しばらく眺めていると周辺に広がる淡い領域が
見えてきます。さらに棒構造までも確認できました。
M83がこれだけ見るならばとM51へ大移動します。渦巻きが見えることを期
待したのですが、そこまでは無理でした。しかしディスク部にはしっかりした
明るさがあって、濃淡があるような気がしないでもありません。
M83に戻ってから近にあるある小さな系外銀河のを見ます(N5061,5078,
5101)。低倍率では三つが同時に見えるはずです。最初、21mmの30倍で
見ましたが一つしか見つかりません。そこで14mm、44倍に倍率を上げてみ
ます。バックが暗くなったのと対象が少し拡大されたことで大分見やすくなり
ました。他の二つも見つけることができましたし、なんとか同一視野に納まり
ました。
ふと気がつくとかみのけ座が天頂を過ぎています。あわてて本日のお目当
てであるマルカリアンチェーンに移動します。M84/86からペアになった系外
銀河が3組、連なっているはずです。ざっと見ただけで二つのペアを確認する
ことができました。まんなかのペアは暗いので難しいようです。広い視野が
必要なので21mmでスケッチしました。スケッチしているとM86の南側にある
N4388がかすかに見えてきました。眼視等級は11.0等です。さらに、まんな
かのペアの内の一つが見えてきました。とっても小さいので恒星状の見え方
ですが、かすかに恒星と違った見え方です。結局、合計8個の系外銀河を
同一視野に捕らえることができて大満足です。
M88、89、90、91も見ていきます。
しかし裏像なのでアイピースの視野を眺めながら次ぎの天体に移動するの
が困難です。こういう状況では整立アイピースが欲しくなってしまいます。
次ぎにもう一つのお目当てである双子銀河にトライします。11.3等と10.8等
のペアなので果たして見えるのか厳しいところですが、ものは試しです。
10mmの60倍で見るとM58の南側に二つの系外銀河が見えています。M58
に近い方はN4564(11.1等)でとっても小さく淡い見え方です。紡錘形をして
いるような気がしますがはっきりしません。その南にあるのがお目当ての
双子銀河です。淡く拡散状の見え方ですが捕らえどころの無い不規則な形
をしています。そらし目でしばらく観察していると東側がくっついて西側が開
いているように感じられます。自信はあまりありませんが、帰ってから資料で
調べると正解でした。これまた大満足の結果となりました。
M58の近くまできましたのでついでにM59/M60のペアも見ておくことにしま
す。両方ともメシエ天体だけあってしっかりと見えています。M60には淡い
銀河N4647(11.3等)が重なっていたはずです。そう思って目をこらしながら
しばらく見ているとかすかにそれらしきものを検出できました。位置関係を
帰宅後確認しましたが、これまた正解です。でも知った上で探さないと見る
のはまず無理と思われます。
かみのけ座が西に低くなってきました。東に目を移すとすでにこと座が高く
上っています。M57を10mmアイピース+2倍バローの120倍で見ます。さすが
に淡くなってしまいますが、リング状であること、少しいびつな楕円形である
ことなどがわかります。
M27も見ます。大きく明るい惑星状星雲です。鉄亜鈴というより、砂時計のよ
うな形がくっきり見えています。南西側の端が明るいことも確認できます。
32cmでスケッチしたのとあまり遜色がない見え方に感じます。
南に目を移すと、さそり座からいて座の銀河がかなり登ってきました。
まずはM22を見ます。8mmの80倍で見ると、なんとびっしりと分離した姿が
見えています。もちろんそらし目にする必要がありますが、普通の球状星団
の分離には少なくとも15cm以上が必要と思っていたのでびっくりです。恒星
分布の濃淡も確認できます。
それではと、M13に鏡筒を向けます。高度が高いので星像がシャープになって
これまたすばらしい見え方です。直視でも周辺部にたくさんの微光星が浮かび
上がっていますが、そらし目にするとボール状の光芒が微光星に埋め尽くされ
ます。M22と違って集光が強いので輝きと立体感のあるなんとも美しい見え方
です。分離した球状星団は見なれていましたが今まで大口径で見てきたのと
は異なった美しさがあります。久々に新鮮な感動を味わうことができました。
へびつかい座のM10とM12も見てみます。これまたかなり分離した姿が見えて
います。見え方の違いも十分確認できます。M12の非対称なスターチェーンが
はっきり確認できました。
M4など完全に分離しています。南北に伸びるスターチェーンやそれをとりまく
ひし形の分布がはっきり確認できます。
球状星団以外の夏の有名どころに目を移します。
M8は星団と重なったすばらしい姿です。運河のような暗黒帯もはっきり見え
ています。砂時計星雲のある明部が小さいながらくっきり浮かび上がってい
ます。
M17ははくちょうの姿がはっきりと見えています。筋状に途切れた口先が確認
できました。
M20も見ます。中心の恒星が二重星になっています。恒星の西側に薄っすらと
暗黒帯らしきものさえ感じられます。
お供の星雲も淡く広がっているのがわかります。
そろそろ薄命が始まる時間になりましたので、この辺で引き上げることにしまし
た。なお今回はフィルターは全く使用していません。
今回は透明度があまり良くない条件だったことに注意してください。春として
平均的な空ですが、今一歩です。シーイングは平均以上はあったようです。
この空の暗さで透明度がよければさらに暗い天体まで見えたかもしれません。
昔のスケッチ本には6cmクラスで11等より暗い天体がかすかに描かれている
事例がありました。果たしてこんなのが見えるのかと正直疑っていましたが、
今回の経験から認識が変りました。
十分に暗い空であれば8cmクラスでもかなりのものが見えることが実感でき
ました。しかし、現代では暗い空こそが最も手に入りにくいものいであるのも
事実です。8cmクラスでどこまで見えるのか、また、平均的な光害地でどこま
で見えるか、今後もトライしていきたいと思います。