星雲星団〜みどころ
いままであまり語られることのなかった、30cmクラスでの星雲星団の楽しみ方を中心にまとめてみました。

系外銀河
みどころを大きく分類すると、複数の銀河が同時に見える領域、相互作用している銀河、形状、輝度分布、渦状腕、棒構造、恒星雲、HU領域、暗黒帯などがあります。
銀河団、銀河群
系外銀河は集団をつくる傾向があって、大規模なものは銀河団、小規模なものは銀河群と呼ばれていますが、きちんとした線引きはされていないようです(太陽系や銀河系のようにはっきりした形がない)。銀河団のカタログとしてはAbellカタログ、銀河群のカタログとしてはHCGが有名で、明るいものは十分眼視の対象になります。同一視野の中に多くの銀河が集まっている様子はほんとにすばらしい眺めです。Abellカタログの銀河団を観察すると淡く小さな銀河が多数集まっていて、注意して見ると幻のようにかすかな銀河がさらに見えてくるような場合があります。一方、HCGカタログでは、銀河は数は少なめですが、接近していて非常に興味見え方をします。また、銀河群とまではいかなくても、同一視野に複数の銀河が見えることも多くそのような領域を巡るのも楽しいものです。最も明るい銀河のグループはM84,86を中心とした領域でマルカリアン銀河鎖と呼ばれています。
ペア銀河、伴星雲
ペアになっている系外銀河は数多く存在していて、眼視的にも、さまざまな特徴が見られます。中でもみごとなのは、接触するほど接近していて相互作用により変形している銀河です。M51を始め、アンテナ銀河、シャム銀河、こじし座の銀河など、結構多くの事例があります。また、距離は離れていても相互作用の痕跡を持つものや、同一のグループにぞくしているもの(M81,82)などもあります。大型の系外銀河の周辺を観察すると小さな伴星雲が見えることもあります。小さな銀河を見つけだすのも楽しいものです。純粋に視覚的な興味としては、大きさ、長さ、明るさ、輝度分布、角度などの組み合わせに、さまざまなバリエーションがありますので注意して観察してみましょう。
単独の系外銀河
系外銀河は楕円銀河と渦巻き銀河と不規則銀河に分類されます。渦巻き銀河は、中心部のバルジと呼ばれる古い恒星からなるつぶれた球形の領域と、円盤状に広がり青白く若い恒星や星間ガスを含んだディスクと呼ばれる領域から成り立っています。楕円銀河は若い恒星や星間ガスが少なく巨大なバルジだけから成り立っているようです。不規則銀河は小型で暗く星間ガスが豊富な場合が多いようです。
渦巻き銀河の渦巻構造は渦状腕とかアームなどと呼ばれ、写真で見ると非常に美しいものです。眼視ではなかなか難しいのですが、いくつかの明るい系外銀河ではみごとな渦巻き構造を楽しむことができます。渦巻を真上から眺めている位置関係にある渦巻銀河はフェイスオン銀河と呼ばれ渦巻き構造を観察するのに適しています。このフェイスオン銀河を渦巻きの見やすい順番にならべて見ると、M51→M33→M101→N1365→M61・・・といった所でしょうか。大型のフェイスオン銀河の場合、中心からかなり離れた位置にかすかな恒星雲が見えるケースが多いので注意して見ましょう。この他にも、フェイスオン銀河に限らず、渦巻構造の感じられる対象が結構ありますのでぜひ探してみて下さい。
小さな系外銀河は、楕円銀河も渦巻銀河も共に楕円形に見えることが多いのですが、注意して見ると見え方に違いのあることが分かります。楕円銀河は中心から周辺へ向けて同じ割合で淡くなっていくのに対して、渦巻銀河では中心に小さな明るい領域(コア)が目立っていることがよくあります。空の状態が良いと表面のテクスチャー(きめ)に違いが感じられこともあります。
見かけ上、渦巻き銀河を真横から見ているとエッジオン銀河と呼ばれ非常に細長く見えます。このタイプの銀河は非常に美しく、また、かなり見やすいのでお勧めです。バルジ部が膨らんで見えるものや、針金のように細長く見えるものなど見え方もさまざまです。細長い暗黒帯が見えるものもありますし、表面のテクスチャーにきらきらした印象を受けることもます。
渦巻銀河の中には中央に棒状の構造をもったものもあり、これらは棒渦巻銀河と呼ばれています(我々の銀河系もこのタイプではないかと言われています)。この構造も意外と良く見えるものです。中には棒構造のみが見えて淡いディスク部が見えない場合もあります。
不規則銀河は淡く広がっていることが多いので、注意して探しましょう。特異な構造の見えるものもあります。
その外に興味深いケースとしては、HU領域や恒星雲が斑点状にかすかに見えることがあります。まれに、中心部より明るい斑点を持った銀河もあり興味を引きます。明るく大型の系外銀河では、中心部に複雑な構造が見えるものもあります。また、一見平凡な系外銀河でもよく観察すると、外形については、紡錘形のもの、楕円形のもの、長円形のものなど、微妙な違いがありますし、表面輝度の分布についても、中心が急激に明るくなっていたり、小さな星状の核が見えたり、均一であったりと様々な特徴があることに気が付きます。恒星が重なって見えるのをチェックしたり、周辺の恒星配置と絡めて楽しんだりすることも出来ます。

球状星団
球状星団は銀河の周辺に分布している恒星の大集団です。一般に見える球状星団はほとんどが我々の銀河系に属しているものなので、系外銀河のように眼視の対象にならないような極端に暗いものはほとんどありません。明るいものを拡大してみると恒星がびっしりと集まっている様子が見えて大変美しいものです。暗い対象や、口径が小さいと丸いボールのように見えます。30cmクラスになると多くの球状星団が分離しはじめます(分離具合はシーイングの影響をかなり受けます)。形状は一部の例外を除くとどれも丸いだけなのですが、注意深く観察すると色々な特徴があることに気づくでしょう。分離した恒星が連なって見えるスターチェーンが発達しているものや、中心部への集中度の違い、ぶつぶつと荒い印象を受けるもの、逆にきめ細かい印象のものなど、さまざまな個性を見出すことができます。また、非常にまばらな球状星団や、非対称な分布のものなど、一風変った見え方を楽しむこともできます。分離が難しい場合でも、大きさや明るさ、集中度などを比較しながら観望すると興味深いものです。

散開星団
散開星団は一般に若い恒星の集団で、明るいものが多いので、肉眼や双眼鏡でも良い対象になります。見え方は千差万別でどこまでが散開星団に分類されるのか良くわからないほどです。大きさ、集中度合い、明るさ、光度のばらつき具合、などを注意して見ましょう。大きさで言えばヒヤデスやかみのけ座のように肉眼の対象になるものから、30cmでも困難なものまであります。また、思いがけない場所にColというカタログナンバーが表示されていたりします。集中度と、明るさのバラツキ具合はその星団の印象を決定します。星数が多くてダイナミックに密集しているものは最もメジャーな対象に多く見られ、圧倒的な迫力があります。よく見るといくつかの密集部に分割されていたり、接近した恒星が目立つこともあります。均一な明るさの恒星が密集しているものは、球状星団のように分離具合や星数の多さを観賞できます。まばらだけど個々の恒星が明るいものは、恒星の配列パターンが楽しめ、なかなか印象的なものです。小さな対象は倍率を上げると色々な特徴が見えてきます。散開星団は天の川の中に多く分布していますので、双眼鏡では同一視野に複数の対象を確認できることがあります。さそり座の下部や、M46周辺、カシオペア周辺などの星団が多い領域をめぐるのは双眼鏡ならではの楽しみです。望遠鏡の視野になると複数の星団が見える場所は限られてきますが、探して見るのも面白いと思います。

散光星雲
宇宙空間に漂う星間ガスが恒星の光りを受けて明るく輝いている領域です。水素などが励起されて特有な赤い光りを放っているHU領域や、恒星の光を反射して輝いている反射星雲などの種類があります。大型で明るいものは複雑な構造を見ることができます。低倍率では全体の美しさ、高倍率では入り組んだガス雲と暗黒帯が作り出した複雑な造形を堪能できるでしょう。大きく淡い対象(良く写真の対象になるもの)も、あきらめる必要はありません。良い空のもとで注意深く観察すれば意外と見えるものが多いのに気がつきます。さらにナローバンドフィルター(UHC,OVなど)を使うと驚くような光景を目にすることもあります。既成概念にとらわれることなく色々ためしてみましょう。その他ほとんど話題に上らない小さな散光星雲も、意外に見えるものです。星図をたよりに探してみるのも面白いものです。

惑星状星雲
円形のものと、双極子構造の二種類に大別されます。円形のものはリング構造が確認できる場合があります。小型のものが多いのですが、表面輝度が高いので高倍率でも観察できますので、なにか構造がみえないか注意してみましょう。星雲の基となった中心星が見えるものもあります。OVフィルターが絶大な効果を発揮する場合が多く、NGCナンバーの付いていない天体さえいくつか見えるほどです。海外の資料によると、さらに大口径では、個性的な形状の見えるものが沢山あるようです。

超新星残骸
超新星が爆発した際に飛び散ったガスが見えているものです。眼視の対称になるもの は数えるほどしかありませんが、どれも有名な天体ばかりです。球殻状に広がる星雲の一部がフィラメント状に見える場合が多いようです。巨大に広がりすぎて眼視の対称にならないものもありますが、あきらめずにトライしたいものです。昔S147(Sh2-240) の眼視スケッチを雑誌で見たような記憶があるのですが・・。OVフィルターが有効なケースが多いです

暗黒星雲
低温の分子雲が背景の恒星を遮って黒いしみのように見える領域です。カタログとしてはバーナードカタログが有名です。良い空のもと、双眼鏡で夏の天の川を散策すると多くの暗黒星雲を見ることができます。しかし、この用途に適した手ごろな星図が存在しないのが残念です。暗黒星雲も一つずつ名称を確認しながら観望すると、のめり込めると思うのですが。望遠鏡でも楽しめるようなコンパクトでコントラストの高いものもいくつかあります。写真で有名な馬頭星雲やS字状星雲は眼視では非常に難しい対称なので、もっと容易に見える、眼視に適した対象からはじめましょう。

二重星・アステリズム・天の川
二重星は専門ではありませんが、たまに見ます。色の対比の美しいもの、多重星になっているもの、光度差のあるもの、無いもの、など望遠鏡の実力に応じて楽しむことが出来ます。双眼鏡で二重星を巡るのも意外と楽しいものです。
アステリズムとは偶然が生み出した特徴ある星の配列です。海外の書籍ではよく紹介されています。国内 でも、もう少し注目されても良いのでは。
暗い空で見る天の川は複雑に入り乱れた構造が肉眼でもよく見えます。一度スケッチしたいと思っているのですが、おそらく最も難しい対象だと思います。双眼鏡でみると、あふれる微光星、スタークラウドに入 り乱れる暗黒星雲、点在する散開星団など、みどころがいっぱいです。

それ以外の対象
普通の恒星でも名前を確認して、スペクトル型や絶対等級、距離などを対比しながら 観望すると楽しいものです。特に赤い恒星や青い恒星を調べてみるのも面白いでしょ う。最も暗い1等星、最も明るい2等星などを探してみるのも楽しいかもしれません。 ちょっと変った楽しみ方としては、番号がおもしろい天体、たとえば1、100、777などを探すという手もあります。テーマを決めて、たとえば球状星団を次々に見て、見え方の違いを鑑賞するとか、局所銀河群のメンバーを片っ端から見るとか、OBアソシエーションを構成する星星をたどるなど、色々な楽しみ方を工夫して見てください。